【往還集138】5 雪の朝

たっぷりと雪が降り、そこに朝日がさして雲となっていくところ。

2階の北向きの窓からは船形連峰、泉ヶ岳、七ツ森までの山々が見えます。
天気予報の「今夜から大雪注意報」が的中し、夜を通して雪。気温も-7度。
連山とその裾野、さらにその裾の住宅街すべてが、一斉に白におおわれ、さながら砂をまぶした箱庭のよう。
この変貌ぶりにしばし見惚れていたら、雲が切れ、朝光が届きはじめました。
最初はおずおずとでしたが、ほどなく全面的に広がり、山も裾野も薄紅色になったのです。
すると山と山の窪みから、水蒸気が立ち上りはじめました。
光の熱が雪を溶かしはじめたにちがいありません。
水蒸気は、窪を離れて立ちのぼり、ひとかたまりになって宙に浮かびました。
それから「ぼく、雲だよ」と胸を張り、ゆったりと流れはじめたのです。
自分が日本画家ならさっそくにもスケッチするのに、残念ながらその腕がない。
「ぼく、雲」はまさしく雲となって、東方へ向かっていきました。
(2017年1月15日)