【往還集137】49 歌会始・続

私は歌会始の選者要請を受けたことはないし、陪聴者に推薦されたこともないという、ごくフリーな立場です。
テレビでの放映は何度か見ています。その第一印象は、会場の皆さん終始威儀を正している、皇族の方々はほとんど不動、黒目だけが動いているというものです。
緊張するとすぐに尿意を覚える自分には、こういう任はとても耐えがたい。
それはともあれ今井恵子さんははじめてゆえの観察を、つぎつぎに披露している。
式場への呼び出しは年長者から年少者の順。

「声を契機に、土俵の下から土俵の上へ、つまり、日常から非日常の儀式へと参集者の意識がかわる。」

「人は肩書、つまり社会的地位や役割としてそこにいるのだと思わせられる。」

「わたしは、ふっと自分の顔を何処かにあずけ、輪郭になったような気がした。」

これらの自己観察・人間観察がじつに冴えている。
「この項続」とありますから、次号も楽しみです。
(2017年1月3日)