短歌をやっていてなんともかんともさっぱりしないのは、宮中歌会始の問題が出たときです。
天皇制国家を補填していると真向から難じる作家がいる一方では、全国規模短歌コンクールの最大規模であるにすぎないと、過剰な意味づけを払いのける歌人もいます。
しかしたいていの歌人は、入選者を過度に持ち上げるマスコミに苦い思いをしながらも、実態がわからない。
これ以上は「立入禁止」の気になって遠ざけている。
そのくせ陰では、あの人は選者の要請を断った、主宰が断ったから弟子も受けるわけにはいかないなどと〈ここだけの話〉に興じる。
私は、是非を論ずるまえに実態をまず公開してほしいと願ってきました。
それをかなえられそうなエッセイがやっと出てきたのです。
今井恵子「短歌渉猟1 宮中歌会始」(「短歌研究」2017年1月号)です。
今井さんははじめての陪聴体験をごく客観的に記しています。
(2017年1月3日)