最近読んだ座談会で1番興味を覚えたのは「人工知能は短歌を詠むか」(『短歌年鑑』平成30年版)です。参加者は小島ゆかり、坂井修一、森井マスミ、永田紅、中島裕介の5人。そのなかで坂井はSF作家アシモフの考えを紹介しています。私はアシモフを読んだことがないので、紹介をもとにいえるだけですが、地球が原子力で汚染されたとき地球にこだわっていては人類の発展がない、地球の外へ移る以外ないとロボットが計算するーーというのです。核に汚染されて人類は亡びるというのは、つい先日まではSF世界のことでした。しかし福島原発事故以来、単なる空想ではすまないと考えるようになりました。1回の事故で広大な地域に放射能は飛散し、多くの人に危害を及ぼす。そればかりか核のゴミを無害化するには10万年単位の歳月を要する。3・11をきっかけに露呈したのはそういう大問題です。
(2018年1月1日)