私と同じ年代なら覚えているでしょう、鹿野(しかの)君事件のあったことを。
いじめ自殺事件です。
当時の教育界を揺るがし、ずいぶん対策も練りあげられました。
だのにそのときの積み上げがなかったかのごとく、悲しい事件はつづいている。
そのたびに担任は、学校はなにをしているかというバッシングが生じ、マスコミも同調する。
さらにあたかも教師が無能であるかのごときイメージをつくりあげてしまう。
私は現職時代長くスクールカウンセラーを勤め、専門のカウンセラーや病院とも連携しながら危うい生徒に付き添ってきました。
しかし〈手柄話〉としていちいち公言しないのがこの界の鉄則です。
だから外部には伝わらず、事が起きたときだけ過剰反応が突発する。
私の経験から推量するに、たいていの教師はよく踏ん張っている。
ただ良い面については、当たり前のこととして社会的話題にもならないのです。
(2016年12月30日)