【往還集137】38 50万人よりも50人

2016年12月23日
ボブ・ディランがノーベル文学賞に推薦されるなんて想像もしていなかったし、なによりも本人が「エッ?!」の気持ちだったでしょう。
ところが賞を受けるとも受けないとも反応がない。
やっと受諾の返事があったものの、今度は授賞式不参加。
なにかにつけてやきもきさせてきたのですが、代読された「受賞スピーチ」を読んで、これでよかったのだという気持ちになりました。

「これまで演奏家として5万人を前に演奏したこともあれば、50人のために演奏したこともあります。しかし50人に演奏する方がより難しい。5万人は「一つの人格」に見えますが、50人はそうではありません。一人一人が個別のアイデンティティー、いわば自分だけの世界を持っています。物事をより明瞭に理解することができるのです。」

50万人よりも50人!
この一言にこめられた真理を、胸内深くにとどめていこうと思ったのです。