【往還集137】37 夕映え

2016年12月22日
11月の半ば、例年の検診のつもりで受けた一項目に引っかかり、2泊3日の検査入院をしてきました。
病院は仙台郊外で、山手にあります。3階病棟からは、なだらかな山々が眺望できます。 
入院とは縁のない生活をしてきたので、不安半ば、好奇心半ばですが、天候はもったいないほどの冬晴れ。
南西向きの窓には空がありったけ広がります。
夕方になり陽が落ちはじめました。
とりあえず安静するだけの私は、ベッドに坐り日没のさまをたっぷりと眺めることになりました。
山へ落ちようとして、稜線の枯木が針金状に浮き立つ。
このときの西日の様を、「枯木のなかをもがくように」と表現したことがあります。
今日はちがいました。「身に付着した汚れを篩にかけるように」と感じられたのです。
「そうか、だからすっかり身を隠したのちも、この世のものと思えぬあかね色で染めることができるのだ」。
新しい発見でした。