【往還集137】14 「男性カットします」

2016年10月24日
通りを歩いていて、

「男性カットします」

の看板が目に入ったときは、「エッ!」と声をあげそうになりました。
そこが美容院だとわかり胸を撫で下ろしたのですが、いきなり小さい日のことが浮かんできたのです。
いうことをきかずにわめいていると、母親が「チンコ切るよ」と脅かす、「やだ、やだ」といって必死で股間を隠すのです。
女の子にチンコがないと知ったときには、悪いことをして切られてしまったのだと思い込んでいました。
高校生になり世界史を習ったとき、中国の宦官についていやに詳しく話す先生がいました。
こんなひどいことがなぜ行われたのだろうと、底深い闇をのぞく思いでした。
さらに時がたって宦官について調べたとき、家族のために自ら「男性」を処分し、時々家に帰っては妻と娘と睦まじく過ごしたという話を知りました。
「男性カットします」から、そんなあれこれを思い浮かべたのでした。