2016年10月23日
高齢者があがめられたのは、きんさん・ぎんさんが頂点だったのではないでしょうか。
以後100歳超が続出し、あがめられるどころかやっかい扱いされつつあります。
年々高齢の仲間に近づく自分も、なんだか肩身が狭い。
けれど歳を重ねないと見えてこないものもある。
親鸞といえば鎌倉時代に出現した名僧ですが、90歳まで生きました。現在に換算すれば100歳超。
この点について野間宏が、目の覚めるようなことを書いてくれている(『親鸞』岩波新書)。
親鸞の思考の達成は、
「九十歳という長い生涯のなかで歴史の真実をその体験を媒介として手に入れ、いかに多くの知識人が歴史の進行を見誤り、つぎつぎと自己破産をとげていくかを見とどけたからでもあろうと思う。」
20代で亡くなった啄木、30代で亡くなった賢治も、もし90、100まで生きたなら、もっともっと多くを見てとったにちがいありません。