【往還集136】38 その後

2016年9月2日
仙台に地下鉄東西線が開通したのは去年の12月6日。この路線を使う用はないのですが、どんなものかと終点「荒井」まで乗ってきました。
駅の東方には高速道路がつづく。
津波はここで遮られた。
駅の1、2階には「せんだい3・11メモリアル交流館」があり、大震災のさまざまな資料が展示されている。
5年もたつと「あった」ことさえとかく忘れているのですが、展示をまえにすると「その後を生きている」ことに気づき、改めて慟哭を覚えるのです。
私は松浦寿輝「afterward-2011・3・11」のフレイズを思い浮かべます。
フランスの知り合いに「その前」と「その後」に分断されているのになぜ平静でいられるのかと問われた、その応えです。

「なぜなら「その後」をなおわたしたちは/生きつづけなければならないから/悲嘆も恐怖もこころの底に沈んで/今はそこで 固くこごっている」

というのです。