2016年6月21日
現代短歌では、かつてないほどの地殻変動が生じている。
上の世代は新しい世代が了解不能だとギブアップし、新世代はそもそも上の世代の作品を読まず、結社にもほとんど寄りつかない。
そういう断層が定型であればあるほど、はっきり見える。
したがって地殻変動の進行を定点観測するに、願ってもない分野なのです。
短歌の基軸を3点あげるなら、まず一人称形式、つぎに定型と密接する文語調と韻律、そして「具体
に拠る発想を得手とする精神風土。
それらのことごとくが、きわめて危うくなってきた。
最大の因は、アナログを駆逐してデジタルへ向かう激流です。
誰もが否応なく呑みこまれている。
もはや従来のシステムに拠らなくても「想像力と創造力さえあれば、誰でも勝負に臨める」。
けれどはたして創造にあたいするものを手にできるかどうか。
それが皆目わからない時代に、現在の私たちは立ち合っています。