【往還集136】10 小学唱歌・続

2016年6月8日
学校教育に合わせて歌を作れといわれてもそれは大変。
なにしろ日本にはわらべうた以外洋楽の歴史が皆無です。
「音楽取調掛」に命じられた人たちは苦心惨憺、外国の曲を選び日本語の歌詞を当てはめることからはじめます。
「蛍の光」「故郷の空」はスコットランド民謡、「蝶々」はスペイン民謡。「仰げば尊し」は謎でしたが、近年になってアメリカに原曲のあることがわかりました。
このようにパクリが次々と。
著作権で騒がれない時代だったのですね。作詞は、児童の理解を度外視しています。そのうえ国家主義、富国強兵を養育する目的もありますから、

ちょうちょうちょうちょう、菜の葉にとまれ、
なのはにあいたら、桜にとまれ、
さくらの花の、さかゆる御代に、
とまれよあそべ、あそべよとまれ、

というぐあいで、もともとは御代(みよ)讃歌でもあったのです。
このように、明治唱歌には興味深い問題がいっぱいです。