【往還集135】30 2月の山

月山池と周辺の山。遠方に見えるのが蔵王連峰。

2016年2月19日
2月という月は、なにか中途半端だ。
正月の行事もおわり、ほっとして、さてつぎになにをしようかと思案するものの、とりあえずなにもない。
冬というには長けすぎてしまい、春にもまだまだ手が届かない。
そんな日に、月山池とその周辺の山々をめぐってきた。
クマはまだ冬眠中。ヤブカ、スズメバチの類も活動しない。
だから安心して歩きまわれるのだが、風景はとびっきりの平凡さだ。
残雪と枯れ葉とクマザサ。雑木林も針金状の枝を張りめぐらせるばかりで、一点の緑もない。林の下には湖が広がり、カモの声が少し。西の彼方には、蔵王連峰の一部がしろがねの襞をみせる。
それらが変化といえば変化で、あとは凡々たる風景ばかり。
湖岸に釣り人はいるものの、山中をめぐろうとする人はめったにいない。
けれど、凡々もすてたものではない。無心になって山の起伏をめぐり歩くことができる。この無心が唯一のとりえ。