【往還集135】15 映像化

2016年1月5日
仙台文学館の「杜の小径」も、春には終了することになった。
正月恒例の「仙台雑煮」も最後。
これには長面浦(ながつらうら)産のハゼも入っている。追波湾(おっぱわん)に近くハゼ漁の盛んだった所。大きな被害を受けたが、やっと復旧しはじめた。
取材の記者がいたので、「杜の小径」のこれまでについて説明する。
この記者が、食べている写真を撮りたいといったとき、近くにいた男性が
「写真なんか撮るな!」
とかなりきつい声をあげた。
一瞬、まわりの人たちは凍りついた。
そのときの男性の心になにがあったのかは測りかねる。
写真として新聞に載っては困る事情があったのかもしれないし、たまたま居合わせた〈大衆〉として扱われることへの忌避感があったのかもしれない。
後者の感覚なら自分にもよくわかる。
自分のみならず「仙台雑煮」を食べたくてきた人だれにも共通する。
こういう映像化の問題は日常的に起きている。それを考えてみたい。