2015年12月16日
4月以来少しずつ読んできた『木俣修全歌集』が、やっと終わった。
若い日の第1歌集から最晩年まで収録されるのが、全歌集だ。
亡きあとの作品は、本人の取捨のないままに遺稿集として収録される。
木俣の場合も『昏々明々』『昏々明々以後』がそうだ。
生涯を見渡すことになる全歌集には、いつでも特別な感慨がともなう。
「しのこしの仕事思へば気の遠くなりゆくごとしいまは捨てなむ」
が『以後』にある。
木俣は研究書も数多く執筆してきた。
なかでも短歌史は、膨大な資料を駆使したもので、私なども随分利用させてもらった。
だのにこれで終わりということがない。
まだ手をつけていない課題が山のようにある。
とはいえ、生命には限りがある。
その限りが目前に迫っているいま、全てを諦めるほかない。
木俣のみならず多くの先達たちは「いまは捨てなむ」と最後の重い決断をして、舞台から退場していったのだと思う。