2015年12月14日
書店にはファッション誌が華麗なばかりに並んでいる。
私は最近これらのなかから、「BAZAAR」を選んで買う。
ファッション誌の役割は、群ようこの言を借りるなら
「モデルの顔と自分の顔を交換して、妄想にふける」
ことにある。
自分の場合は世界最先端の服飾を芸術品としてみることにある。
実用性を基軸としながらも、芸術品として生成されてきたのが服飾だ。
この問題の深さをはじめて知ったのは、村上信彦の大著『服装の歴史』全3巻による。その後鷲田清一『ひとはなぜ服を着るのか』をはじめとする著作にも、随分目を開かされた。
それらのことを一口で語ることはとてもできないが、ただ服飾を考えるときの原点ははっきりしている。
第1は実用性。
第2は美。
そして第3は愛。
糸を紡ぎ布を織り一着の服とするまでの途方もない時間には、作り手の愛が自ずと籠る。服を作るのも贈るのも、愛の行為だった。