【往還集134】48 「強霜」

2015年11月11日
以前に自分の歌集『強霜』の題について書いた。季語には「つよしも」がある、「こはじも」は辞典にも出てこない、けれど自分としては「こはじも」でなければならないのだと。 
ところが木俣修『愛染無限』を読んでいたら、「強霜」が出てきた。

「身の違和にひとり悩みてゐるあさけ朝明こわ強じも霜をいふ妻のこゑする」

ルビは「こわじも」だが強い霜の意味で使っている。
これを知らなかったわが不明を、今更ではあるが恥じねばならない。
ついでにこの歌集でいい歌だなあと思った1首をあげておく。

「雪のみちゆづりあひつつ歩むさま雪国びとはこころひくくして」

これは自分にも経験がある。雪が降ると人々は譲り合いながら歩く。
「こころひくくして」とは、雪国人の本質をつかんでいると感服しノートにも写しとった。
だが写す段階で「ひくくして」ではなく「ひろくして」だと気づいた。
このような読み誤りは1度ならず2度も3度もある。