2015年10月24日
尾花仙朔(おばなせんさく)は1927年生まれの詩人。どちらかといえば寡黙、人前にもあまり出てこない。
しかしというべきかそれゆえにというべきか、この人が仙台にいるというだけで心強い思いを抱いてきた。寡黙の位置にありながら、世界・文明・人類を見据え、そして詩(文学)を問うてきた。
そういう尾花の新詩集『晩鐘』。
「人類の歴史の過去と現代を俯瞰し、未来を予見する力を培うひとりの物書きが生きた時代の証を遺したい、と思い本詩集を編みました。その世界構造の変遷に応じた思想の発見と表現の創造こそ、現代芸術(詩文学)の《不易流行》だと思いますから。」
「あとがき」にこのように記している。この一文によって、詩集にこめようとした尾花の意思をうかがうことができる。
ここでは作品まで紹介するゆとりがない。どうか機会があれば詩集を手にし、一篇ずつ味読してみてください。思潮社刊です。