【往還集134】19 『じょうききかんしゃ』

東京に住んでいる娘が、2歳半の男の子と6カ月の男の子をつれてきて10日間滞在した。
6カ月のほうはハイハイするだけだからまだいいが、2歳半はまだおむつをしているくせにひどく活発で、いっときも活動をやめない。
道を歩く速さも相当なもので、待て待てととめるといっそう得意になってすっ飛んでいく。
昼寝ぐらいはさせないとこちらの体力がもたない。
そこで昼食後にお気に入りの本をもって来させ、読んでやることにした。
トッパンのカメラえほん『じょうききかんしゃ』。
1回読み終わったら、また読めという。くり返しているうちにすーっと寝てしまった。 
つぎの日もまた同じ本を読めという。

「ゆきをとばして かけるきしゃ ゆきのけむりを くぐるきしゃ どんどんすすめ でごいちだ」

10回は読んだか。
ふと気づいたら、孫がベッドの下で一人遊びしている。
寝入ってしまったのは、自分のほうだった。
(2015年8月17日)