【往還集134】17 学徒出陣

またまた新国立競技場の話で恐縮。
巨額の資金をかけて造るはいいとして、オリンピックが終わった後どうするかという話題も出た。
音楽祭、各種スポーツ大会ばかりでなく、大災害のときの都民の避難所としても活用できるなどの案があった。
私は今日、思いがけない用途のあることに気付いた。「短歌往来」9月号を手にし、藤原龍一郎氏の「丘の上の愚者」を読んだときだ。

「新国立競技場には屋根ありて雨に濡れざる学徒出陣」

学徒出陣といえば、土砂降りのなかの明治神宮外苑競技場の行進だ。あのときの会場には屋根などなかった。だが今度は屋根付きだ。どんなに雨が降っても濡れることなく、整然と行進できる。
折りも折り、安倍政権は憲法を無視して安保法案を通そうとしている、その行き着く先には徴兵制もありうる。出陣式だってここを使えばずぶ濡れになることはない。
これはもちろん藤原氏のきつめのジョーク。

(2015年8月15日)