【往還集134】13 体育系

東京オリンピックへ向けて国立競技場をリニューアルしようとし、あまりにも莫大な予算にストップがかかった。流線型で天井も開閉できる、図面で見るかぎり夢のようなデザイン。それを採用し、いざ予算を算出してみたらとんでもない額になることがわかった。 
摩訶不思議なことに誰が責任者なのか、はっきりしない。
このいきさつにはあきれはてるほかないが、実は体育系の陥りやすい危うさでもある。体育系の催しは、とかくどんぶり勘定、役員体制も親分子分の要素が濃厚。公金も体育系にはどんどん使う。
私は定年まで高校の教員をしてきて、文化部・体育部両方の顧問をしてきたからよくわかるが、出張一つとっても文化部は冷遇される。予算の格差となったら、さらにひどい。 
勝ち負けのはっきりする体育系は、学校や国家の威信に直結しがちだからいつのまにかこういう体質になり、金銭感覚も麻痺してしまう。

(2015年8月9日)