【往還集133】86「『ゲノムの森』」

2015年6月28日
 すぐれた詩集を読んだあとは、何かかなしく何かなつかしい。しばし心のなかにフレイズを反芻する。玉田尊英(たかひで)『ゲノムの森』。「森の向こうで/なつかしい雨が降っています。/忘れられた日々のように/やわらかくあたたかい雨が/いつまでも 降っています」4連詩「森」は、これを冒頭に展開されていく。