2015年6月30日
宮英子さんの訃報を知る。26日逝去、98歳。「コスモス」7月号で月例の歌を読んだばかりだったのでまだ大丈夫と安心していた。いつかお会いし生前の柊二について聞きたいと思いつつ、機会を逸してきた。もう取り返しはつかない。自分にできることはしっかりした柊二論を完成させることと、改めて思う。
月: 2015年6月
【往還集133】88「美貌」
2015年6月30日
吉野弘の詩に「美貌と心と」が。男の願いは横暴、美貌の人は美貌であると知らないことを望むーと。「花は花の美しさを知らない/と言って女を困らす。」とも。けれどバラやボタンを見ていると、自分の美しさをよく知っていると思えてくる。無言ながら、色鮮やかに侵しがたく、胸を張って咲いているのだと。
【往還集133】87「歌い聞かせ」
2015年6月30日
新潮文庫版『なるほど!赤ちゃん学』に赤ちゃんに歌い聞かせる歌の人気調査がある。1位白秋「ゆりかごの歌」、2位まど・みちお「ぞうざん」。以下「どんぐりころころ」「げんこつ山のたぬきさん」。これに続くのがママ自作の歌。時代をこえて歌は赤ちゃんにやすらぎやよろこびを与える。うれしいことだ。
【往還集133】86「『ゲノムの森』」
2015年6月28日
すぐれた詩集を読んだあとは、何かかなしく何かなつかしい。しばし心のなかにフレイズを反芻する。玉田尊英(たかひで)『ゲノムの森』。「森の向こうで/なつかしい雨が降っています。/忘れられた日々のように/やわらかくあたたかい雨が/いつまでも 降っています」4連詩「森」は、これを冒頭に展開されていく。
【往還集133】85「また、うんち」
2015年6月26日
子どもの純粋さはうれしく楽しい。けれどときには親を困らせ、まわりも困らせる。ある日デパートのレストランで昼食。カレーライスをたのんだら隣の子連れも同じものを。品が運ばれたとたん、大発見の口調で「うんちみたい!」。コラッ!と小声できつく叱るママ。キョトンとする男の子。これも実話です。
【往還集133】84「うんち」
2015年6月26日
子どもの純粋さはうれしく楽しい。けれどときには親を困らせ、まわりも困らせる。ある日バスに乗る。「運賃は降りるときにお入れください」と車内放送。すると幼稚園の制服の男の子、「うんちだって!うんちだって!」と大声ではしゃぐ。顔を赤くして叱るママ、いよいよ得意がる男の子。これ、実話です。
【往還集133】83「バージンロード」
2015年6月26日
「処女峰」「処女作」の用語は性差別を気にしてか、激減している。だのに「バージンロード」の和製英語は大はやり。式場に敷かれた布、あれは花嫁の純潔を象徴するのだという。「ではバージンでないひとはダメ?あなたはダイジョウブ?」と式に招かれて、花嫁さんに問いたがっている、意地悪な自分がいる。
【往還集133】82「小指」
2015年6月25日
夕食後のひとときを編み物するのが長年の習い。4月からは、サマーニットでベストを作成中。ところが左手の小指が痛んできた。いちばん細くて小さいけれど、糸を繰るには大切な指。さすってやると、「ツカレマシタ、スコシオヤスミヲクダサイ」と小声でささやく。で、編み物一切はしばらくの休養です。
【往還集133】81「スカート」
2015年6月25日
鳥野しの『ボーイスカート』は、ある日突然スカートをはいて登校した男子高校生をめぐるマンガ。「スカートを穿くと楽しいんだ 理屈じゃなく」「空でも歩けそうな気分になる」いわくいいがたい理由をこのように語る。スカートを日常とする女子がとっくに忘れていたこの感覚。ふつうなのになにか新しい感覚。
【往還集133】80「続」
2015年6月22日
国家権力と文学は直結すべきではない。これは正論。ならば天皇制は国家権力か。ここが改憲の動向も出て来ていよいよ不安定。また天皇制と天皇個人を同一視できるか。制度否定論者も現平成天皇・皇后には敬意を抱く例が多い。自分もその一人。ならば歌会始をどうとらえるべきか。目下この難問と格闘中。