【往還集133】52「一字」

2015年5月21日
 木俣修『冬暦』に「貨物車は牛馬(うしうま)のごとく運ばれてその冬の夜を転期となしぬ」がある。
貨物車の黒い図体が牛馬のように虐げられて運ばれていくと解釈し、何と大きな歌だと感銘。ところがよくよく見たら「貨物車に」だった。運ばれて行くのは人間。たった一字でガラッと変わる歌の怖さを目の当りにした。