【往還集133】42「中地の歌」

2015年5月19日
 中地俊夫の歌には天才的な閃きがあるわけではない。どちらかといえばはじめから武装解除した凡々たるところがあるが、そこが味わいどころだ。「お巡りさんいつも不在の派出所にちよつと立ち寄るランドセルの子」「おわあおぎゃあ、朔太郎のネコ鳴き出してこの世の春をかきみだすなり」こういうぐあいだ。