【往還集133】27「まぶしがる」

2015年5月9日
 海沿いの村や町の膨大な瓦礫が片付けられ、土台石と地面が残るだけとなった。その茫漠たる風景のまえに立ち、あまりのことに胸が押しつぶされそうになった。だのに次第に、日の光を満面に浴びた土地がまぶしがっていると見えるようになった。何十年、何百年ぶりかで「星の額」そのものに還った一面の土。