「若さって、歩く詩人みたいなもの」の名文句が閃いた。
けれど独創ではない。何年かまえ工藤美代子『快楽(けらく)』を読んだ。そのとき、記憶に留まった1句がある。十代や二十代は歩く性器みたいなもの、だ。
どんな場面でのことだったか、もう一度本を取り出してみた。
友人恵美子さんが語る、「たとえばさ、十代や二十代の若い頃って、もうアフリカ大陸みたいなものよ。いたるところが熱いのよ。唇から耳たぶ、乳首やクリトリスはもちろん、身体のすべてが感じたでしょ。まあ、言葉は悪いけど、歩く性器みたいなものよ。」
この「歩く性器みたいなもの」が、「歩く詩人みたいなもの」を呼び起こした。
なぜかって、この頃若い世代の歌のわからなさについての論議が多いから。
なぜ「わからない」と感じさせるかといえば、具体的「もの」にも「こと」にも即かず、いきなり〈詩人〉となって歩きそして走るからだ。
(2015年1月30日)