この事はあまりに痛々しいので、書くまいと思っていた。
散歩のときその家のまえをよく通る。
昨夜も忘年会の帰りに通った。
近所の家は灯りがついているのに、一軒だけ静まり返り、がらんどうだ。
近所の人は、あまりの悲しみに誰もが黙し、時の流れを待っている。
けれど、なにもなかったことにしていいのだろうか。
子育てをした人なら大抵が経験する、わけもわからず泣きわめく赤子への苛立ち、そして孤立無援の思いを。
はじめての子で、近くに親しい人もいないときはなおさら。
転居してきて1年の若夫婦、1人目の赤ちゃん。
つい先日の9日に若いママは、4カ月のわが子を発作的に窒息死させてしまった。
事が起きてから、なにか手助けできなかったろうかと誰もが悲しみ、悔やむ。
けれど、もう手が届かない。
「いつの日にかママを許してくれるだろうか」と、そっと赤ちゃんに語りかける、祈る気持ちで。
(2014年12月14日)