冬季は、自分にとって歌集を集中して読む期間。早暁に目覚めるのは同じだが、机に向かうと暖房代がかかる。そこで床に入ったまま読書する。歳とともに視力が弱ってきたので、活字の大きいのがいい。そうなると歌集が最適。
かくして歌人と対話することが多くなる。今朝読み終わったのは、『美砂ちゃんの遺歌集』。尾崎左永子さんが亡き娘の作品を刊行。だからこういう題になった。
自分はこれまでお嬢さんが歌を作っているとは知らず、作品にも注目してこなかった。あとがきに
「自分の力で世に出るなら邪魔をしませんが、どうも親子歌人というのは好みでないのです。」
とあるように、歌人の地位を借りて売り出すなど考えもしなかったのだ。
そこがいかにも尾崎さんらしい。
そのお嬢さんが2013年5月にガンを発病し、10月に死去。享年51歳。
1年過ぎて母親の手で編んだのだのが、この『美砂ちゃんの遺歌集』だ。
(2014年12月7日)