最近読んだ本でずしりと手応えを感じたのは、加藤典洋『人類が永遠に続くのではないとしたら』(新潮社)とリリアン・フェダマン『レスビアンの歴史』(筑摩書房 富岡明美・原美奈子訳)だ。
まるで入口のちがう書のようだが、思わぬ共通項のあることに気づいた。
『レスビアン』は、女性間の「ロマンチックな友情」が性科学者によって「レスビアン」と概念付けられ、病理とされていく過程を丹念に掘り起こしていく。
「セクシュアリティは複数あるアイデンティティーズの一つにすぎない」
ところまで解きほぐしていく。
この到達点は、加藤がゲイの問題で語っていることと共通する。
すなわちこれまではゲイであることをカミングアウトするに力みを要したが、今や「語ることも語らないこともできる」という、新しい自由の考えが出てきたという。
この2冊の大著を、一言でいうのはむずかしい。とりあえずほんの一言を。
(2014年11月14日)