【往還集131】22 〈いいね〉

北川透氏の「ひとり雑誌 KYO峡」第4号に、エッセイ「クラックの中から④」がある。

「今の時代は、みんな〈いいね〉の時代になってしまった。」

という。しばらくフェイスブックをつづけていたが、〈いいね〉のコミュニケーションが気持ち悪くなって、撤退したと。
同感。
〈いいね〉があるなら〈わるいね〉もあるはずで、その中間こそが多様。多様性こそが重要なはずなのに、一切触れずに○か×だけで評価を下そうとする。
これは人を貧困にする。
考えて見れば、料理番組のセリフも〈おいしい〉のワンパターン。AV女優も〈きもちいい〉のワンパターン。短歌でもこの頃、〈おもしろい〉〈おもしろかった〉の評がむやみに目に付く。
この傾向と〈いいね〉は、どこかで関連し合っている。
そう思って自分をふり返ったら、ほんの時々ながら〈おもしろい〉を使っているではないか。
赤面。
これからは使わないと誓います。
(2014年11月3日)