極上の秋日和とは、このことだ。朝から雲一つなく、日差しはいっぱい、風もほんの微風。
泉ヶ岳へ、と思い立つ。
いつもは北側の窓から遠望するだけ。
車を飛ばすこと45分。たちまち着いて、ロープウエイで中腹へ。仙台市街も仙台平野も太平洋も一望できる。
そしてパラグライダーの出発点でもある。若者たちが風を読んで、つぎつぎに飛び立つ。上空をゆったりゆったり漂う。
その爽快さは、眺めるだけの想像をはるかに越えるだろう。
自分もまだ若い頃空中飛行に憧れた。けれどチャンスのないまま時は過ぎ、気が付けば71歳だ。もうチャレンジというわけにもいくまい。
空のみならず山も海も、憧れながらやり損ねたことはいっぱいだ。やれたことは、ほんの、ほんの、ほんのわずかにしかすぎない。
そんな感傷にひたりながら、草に思いっきり寝ころんで、山の空気をたっぷり吸いこんできた。
(2014年10月8日)