【往還集131】9 西公園

西公園の鉄製のコケシ像
西公園の下を蛇行する広瀬川

進学するとき、本当は京都か東京へ行きたかった。けれど兄弟が4人いるので断念、中間をとって仙台に〈途中下車〉した。
4年間の学生生活を終え、地方の高校に就職。10年勤めてまた仙台に戻り、定住の地となった。
かくしてあちこちの風物に接するたびに、学生の日に一気にタイムスリップする。
今日歩いて来た西公園もその1つ。鉄製の大きなこけし像がある。学生になった年に、重機で建立するのを目撃している。
公園の下には、広瀬川が輝きながら蛇行する。
あれもこれも昔日のままだから、タイムスリップは容易に起きる。
自分にまず衝撃的だったのは、世界全体を解釈する思想が存在することだった。マルクス主義の上部構造、下部構造がそれだ。
それならば個人の存在や感情は、どのように位置づけられるのか。
この難問を突き付けられたのが18歳の日の仙台。ただ懐旧にひたることを許さない町でもある。
(2014年10月2日)