【往還集131】4 吟行会

俳句の人はよく吟行会をする。連れだってあちこちへ行く。動物園、水族館、美術館、デパートなどなど。在来線に乗って、見知らぬ町に降り立つというのもある。
めいめいが句を作り、時間になると持ち寄る、そして合評会かつ打ち上げ会だ。短歌でも、俳句ほどでないが時々ある。
私はこの吟行会なるもの、ほとんど恐怖だ。なぜならば歩き回っても、立ち止まっても、ことばが浮かんでこない。したがって1句も1首も出てこない。
私は歩き、眺めるときはなんの目的もなしに、ただ全身を解き放ちたい。1句をひねり出そうとして、眉間に皺を寄せるなど、ずばり苦痛。
私の場合、嘱目の景物が歌になるには、時間を要する。景物の大概が濾過されて、たった1つが不意に蘇ったりする。それしか自分には策がないと、とうに諦めている。
句誌で吟行の記録を時々みる。ほとんどがほどほどの出来なので、少しは安心する。
(2014年9月20日)