【往還集130】31 結社+非結社

短歌にも俳句にも結社がある。
結社があれば主宰がいる。
主宰がいれば会員が集まる。
会員が集まればランクが生じる。
ランクが生じれば全体がピラミッド型の構造となる。
というのが従来の結社観だが、際立つ主義・主張の模糊としてしまった現在、構造そのものが変動せざるをえない。
そういうなかで最も先鋭的な結社は「結社+非結社」を包含するものだけだ。
これを最も先鋭的に、しかも自然に試行しているのが「塔」の永田和宏。彼はインタビュー「「塔」六〇周年」(「現代短歌新聞」2014年8月号)で、自分につづく若手との関係について語る。

「彼らがこちらを向くように仕向けているようでは若手は育たない」

「必要になって向こうから来る時には、相談に乗るが、それ以外は私のもとにいることさえ意識させないこと」

私はこういう在り方に注目する。結社主宰にとっては離れ業であり、誰にもできることではない。
(2014年8月5日)