詩誌「左庭」28号に、山口賀代子さんが「「幽霊」であっても会いたい」を書いている。京都の神社で突然怒声が起きる。
「そんなん関西に関係ないやん」。
月1回開かれる東北復興支援「ひょっこりひょうたん島ワンコインコンサート」の案内板へ浴びせた声だという。
「もしかすると、あの女性も何かとてつもなく大きなものを失ってああして叫ばずにいられなかったのかもしれない。」
山口さんはこのように書いている。
もしその場に私もいたなら、怒声に憤り悲しみついには虚脱するだろう。この女性は思慮に欠ける面があるにしても正直なだけだ。被災圏の耳には「そんなん関係ないやん」が、すでにあちこちから聞こえる。そして何事もなかったように事はどんどん進んでいる。
このあまりにも大きな落差。
被災圏から距離を置けば置くほど、落差自体が見えなくなっているだろう。
日本列島など、たかが知れた範囲だというのに。
(2014年7月12日)