荒浜へ、そして閖上へ。
津波に破壊された家屋の処分は、かなり進んでいる。土台石はまだまだ残っているものの、整地がはじまっている。防潮堤工事も真っ盛り。一般人は「立入り禁」で、海辺へ行くことができない。
事は先へ先へと勢いづき、まるで前のめり状態だ。
この勢いを、喜ぶべきか?たぶんーー。
だのにこの頃、妙な無力感、虚脱感に襲われる。「震災のことはもう終わりにしようじゃないか」という声がする。「世の中はもう別の事で忙しいんだ」という声も。
それは、そうなのだ、3・11はもう、過去でしかない、いつまでもとらわれていていいわけがない。
だのに、生死の境に立ち会い、虚と実の区別のなくなったあの日に刻印されたことは、今でも身の内に沈澱したままだ。世の動向から見放されていくこの感覚。どんなに語っても、伝わることはないだろうという無力感、虚脱感。それから逃れられないでいる。
(2014年5月8日)