この冬は記録的な大雪。もう春は来ないのではーと心配していたら、森の色がしだいにうごめき出し、黄緑の靄が一斉にかかるようになった。
春はやっぱり来てくれる。
こうなると耕作の再開だ。農具を車に積んで、畑へ。土は雪と雨を吸い込んで、すっかり固くなっている。それを掘り起こすことからはじめる。
と、部落の男たちが20人も通ってゆく。何事かと問えば、イノシシを追い払うのだという。男たちは、棒を持ち、マイクで奇音を発し、さらに爆竹を鳴らして移動していく。イノシシは冬の間カヤを集めて眠り、温かくなると起き上がる。そして腹ごしらえにかかる。そこで今が追い払う時期というわけだ。
3年まえ、うちのジャガイモ畝も、収穫間近にしてみごとに食い尽くされた。山の食糧が乏しいものだから、里に下りてきて、鼻先で掘り起こす。
その様を想像するとどこか滑稽だが、面白がっている場合ではない。
(2014年4月20日)