ニュースが「まど・みちおさん」の一語を発したとき、「あっ、とうとう」の思いが走った。
午前9時9分、逝去。104歳。
「路上」に「まど・みちお」を連載しはじめたのは1995年、以来書きついで『詩人まど・みちお』(北冬舎)として刊行したのが1998年。
まどさんに「路上」を送ると、手紙に代金代りの切手を挟んで返信してくれた。代金はいりませんと伝えても、やめなかった。
しだいに目が弱り、短歌だけ読んでいると音信をくれるようになったが、100歳が近づくにつれ、もう気力がなくなったという1行があった。「路上」送付もそこで終りとした。
「同時代に、まど・みちおという〈詩人〉がいる。それを知ったときの深いよろこびとかなしみが、これから、まど・みちおを探索しようとする動機のすべてである。」
これがまど論の書き出し。
戦後最大の童謡詩人は、これ以上ないほどに謙虚な人でもあった。
(2014年2月28日)