【往還集129】12 小高賢

新聞訃報記事に「小高賢さん死去」。
仰天した。11日早朝、事務所で亡くなっているのを家族が見つけたという。
小高氏は69歳、自分と年齢もそれほど違わないし、批判精神も旺盛だったから、互いにやり合いながらも仲がよかった。角川の平成26年版『短歌年鑑』にも「批評の不在」を書いている。『年鑑』で唯一歯ごたえがあったと、ハガキで伝えたばかりだった。
「かりん」2月号にも「意識的なふたつの歌集」を執筆。清水房雄『残吟抄』と宮英子『青銀色』を対象にしながら「人間には一回の生しかない。だからどんな年齢であっても、初めての経験のはずである」と説き出している。小高氏だってそのうち高齢になる、どんな経験を持つものやらと興味津々。
その矢先の死去。
これってずるいじゃないかと反駁したい。けれど、もう無音とは。
私は急に全身がかったるく、腹具合もおかしくなり、半日寝込んでしまった。
(2014年2月12日)