【往還集129】11 こけしの世界

今晃のこけしのスケッチ。
石原日出夫の木人形をもとにしたイラスト。

今日はカメイ美術館へ。「今晃(こんあきら)の世界」展が開かれている。彼は津軽系こけしの作り手だが、伝統からはるかにはみ出して、まるで児戯のような表情を描いてはばからない人だ。目がまん丸だったりつり上がったり、眉毛も上がったり下がったり、とにかく自由自在。
こけしの世界はいまなお伝統を主流とするが、このように独創的なのもある。
そのことを、亡き石原日出夫の木人形(もくにんぎょう)ではじめて知った。生前の彼は「未来」の歌人でもあり、仙台在住だったから個人的にも交流があった。
彼は固い材質に焼き鏝で模様を入れ、重厚な色彩を出していく。国内だけでなく、海外でも個展をやる腕前で、こちらの手の出ないほどの高価さ。やむをえず個展で見た印象をもとに、イラストにすることをはじめ、しばらくは夢中になった。
こけしの世界も、他の分野と同じように幅は広く、本気になったら奥は深いのだった。
(2014年1月16日)