


1月に入り、酷寒がつづく。今朝も-6度。昼になるにしたがって、久しぶりの日ざしだ。このときを逃さじと、月山池周辺の山へ入ってきた。
クマはとうに冬眠のはず。だのに秋の食糧がよほど少なかったのか、いまになっても出没の情報がある。クマもたいへんだなあと同情しながらも、「人知らせ」の鈴は鳴らしていく。
冬季の山は、なんのおもしろみもない。枯れ枝と枯れ葉と山の鳥と風の音ばかり。
このおもしろみのなさが、じつはおもしろい。褐色の斜面に樹木たちが、長々とまた細々と影を伸ばし、まるで幻燈のよう。湖面の大方は凍結しているが、薄氷を選んでカモたちが群れている。折々、クォ、クォと声をあげて、静寂を味わう。
その他には、目ぼしいものはなにもない。けれど、なにもないことにそれぞれが充足しているのではないかと、このごろ思えるようになってきた。もちろん、自分も含めてである。
(2014年1月15日)