【往還集128】37 国益を越えるには

原発の処理があまりにも不十分だというのに、首相が海外で原発セールをやっているのには呆れ果てる。「日本の技術力はトップクラスです」などと恥ずかしげもなくうそぶく。売れれば莫大な金が入る、日本経済は上向きになり、国益にもかなうという論法。
国家である限り、国益を守るのが当然と考えられてきた。それが最近、ひどくうっとうしい。
なぜなら一国の利益を守ることは、他国を貶めることにつながるという構造が見え見えだからだ。
この問題とどこかでつながっているかもしれない発言を見つけた。加藤典洋「我らの狂気を「生き延びる」こと」(『3・11』岩波書店)。「世界に対し、日本はどうふるまうべきか」という企て、姿勢が求められているというのだ。
一国的な関心でも利益でもなく、この国の叡智を傾けて世界へ、地球へ立ち向かう、そういう道筋をどのようにして構築していけるだろうか。
(2013年11月23日)