【往還集128】36 笑うこと、笑わないこと

私はファッション誌をよく見る。もしかしたらデザイナーになったかもしれない自分を、今になって慰めるためでもある。
そんな折にこれはどういうことかなと「?」の湧くことがある。雑誌といっても、モデルが一貫して笑うのと、一貫して笑わないのがある。「CanCam」は一貫して笑う派。「装苑」は一貫して笑わない派。その中間もあって「Oggi」は半々ぐらい。
この違いはショー性を前面に出すか、服飾そのものに重きをおくかにある。若い世代向けには明るさ、華麗さが欲しいから、笑顔をふんだんに詰め込む。自然で美しい笑顔を作るのも芸のうち、才のうちなのだ。
ところが終始笑顔に付き合わされると、さすがにこちらも疲れてくる。人生、こんなにいいことばかりじゃないでしょう、影の面だってあるでしょうなんて話しかけたくなってくる。
モデルさんたちは、あいかわらず素敵な笑顔でいるだけ。

(2013年11月22日)