はだかをさらす、ましてや性行為そのものをさらすのは、一昔まえはだまされた女性のやることと考えられていた。
ところが今や出演希望者がいくらでもおり、しかもどこへ出しても通用するような美女が揃っている。
この世界に社会学の鈴木涼美(すずみ)が切り込む。これまでの論議のほとんどは、性の商品化の現場の魅力に無自覚だった、AV女優にはきらきらした部分があると鈴木はいう。
この「きらきら」への感応が、論考のエネルギーになっている。
もっとも女優たちに一様につきまとう不安がある。それは「親バレ」と引退後の生活のこと。AVと風俗の違いは、AVが映像として流布し、後々まで残りつづける点にある。そのリスクも高い出演料には含まれる。
鈴木はAV自体への倫理的判断を最初から脱落させ、この世にAVがありAV女優がいることから出発する。こういう風通しのいい観点が、やっと出て来た。
(2013年11月21日)