アンデルセンに「白鳥になった王子たち」(「野の白鳥」ともいう)があります。絵本で見たのは小学生のとき。お城に住む兄11人と妹1人。妹の名はエリサ。継母がやってきて兄たちを白鳥にしてしまう。魔法を解くにはいらくさでクサリカタビラを編まなければならない。エリサは手に血を滲ませながらも、11枚編み上げ、囚われの窓から白鳥たちに投げかけてやる。すると兄たちはもとの王子になるという物語。
原作では、エリサが火あぶりの刑になる直前に投げかけることになっています。
クサリカタビラをどのようにして編んだか。絵本では2本の編み棒でしたが、ほんとはカギ針編みかもしれません。
どちらにしても私が気に入ったのは、11羽にサーッ投げかけてやるときの瞬間です。
以来、セーターを編み終わるたびにこの場面を思い浮かべ、今なら73羽を救い出せるよと、つぶやいてみるのです。
(2013年11月15日)