【往還集128】28 「ローマの休日」

このところ許容量ぎりぎりの仕事つづきで、困憊しはじめたので気分転換に「ローマの休日」を。ヘブバーン主演の白黒映画で、もう50回以上は観ている。それでも飽きないのは清純極まりない、それでいて人間的でもあるヘブバーンの魅力に。
日本に公開されたのは1954年。翌年には水沢の映画館にもやってきた。当時自分は6年生。保護者の付添いなしに行くのは禁じられていた。
ところが同じクラスの女の子数人が発覚。担任は女の先生。帰りのホームルームで起立させられる。
叱責するのかと思ったら「どんなところがおもしろかったの?」と聞く。「髪をばさっと切ったところ」と彼女たちは答える。
このときの「髪ばさっ」が鮮明に記憶に残ることになった。実際に映画を観たのは、学生になって「名画座」に行くようになってから。長い髪を一気に切り落して変身する場面は快感そのもの。
今日も、その快感。
(2013年10月24日)