いまどき珍しい鄙びた温泉宿が、蔵王連峰の山ふところにあると聞いていた。いつか行ってみたいと思っていて、今日やっと実現。高速道を「村田」で降りて西へ。左折して、車一台がやっと通れるほどの山道を進みに進む。
すると、下方の谷間に、ぽっかりと赤屋根が現れた。入り口には木造りのフクロウ、そして、「かまくら」の標示が。
ここなのだ。
坂を下って行くといっぱいの秋海棠に囲まれた小さな祠。そして木造そのままの二階建ての宿が。
部屋をのぞくと、畳が敷かれ、鉄瓶もある。入浴料はわずか300円。小さめの風呂ながら、「低張性アルカリ性冷鉱泉」という泉質で皮膚病に効果があるという。昼ながら何人か入浴しており、帰りにはポリタンクで温泉水を買う人もいた。
湯治場の風情のどんどん消えていくなかで、このようにしっかりと残っていたとは奇跡。原郷に還った気持ちになって半日過してきた。
(2013年9月20日)