【往還集127】49 ミヤギノハギ

挿し木して家の垣根に移植したミヤギノハギ。手入れもしないのに、毎年咲き誇ってくれる。

垣根に植えておいたミヤギノハギが、大きく枝垂れ、小粒の花も一斉に咲き出した。その色は赤に紫を交えて濃密。ハギの風情は、枝の枝垂れ具合と花の色にある。
私が最後に勤めた広瀬高校は、昔の農学寮の跡地にできた。その名残りで、草木が大事にされ、学級用の畑地もあった。校庭に降りる傾斜地には赤ハギ、白ハギが連なり、季節になると長い滝となって咲き誇った。
管理をしているのは、創立以来勤める技師の泉さん。ハギは若い茎を挿し木にすると育つと教えられ、やってみた。白ハギは何度やっても失敗したが、赤のほうは根付いた。
家に持って帰って移植したら、手入れもなにもしないのにどんどん丈を伸ばし、みごとな花となった。
ハギの華麗さに、昔びとはことのほかに魅せられた。正確にいうと、華麗さだけでなく、微風に揺れ、やがて花屑となって地に還るはかなさをも含めて感応したのだと思う。
(2013年9月15日)