【往還集127】45 人形・続

リアルドールの製品レベルは日本が最高峰という情報を得たのは、何年も前の週刊誌から。なにを基準に最高などと評価するのかは、いつだって疑わしい。が、ともあれ会社名の「オリエント工業」をパソコンで開く。
そのとき、まさしく最高峰と直感した。透き通らんばかりの顔と肌が眩しいばかりに並ぶ。いかにも日本人らしい繊細な技術だ。
リアルドールとは要するにダッチワイフ、性的対象としての人形だが、性抜きにしても芸術品として遜色ない。ただし60万円以上するから、そう簡単には手が出ない。
私は直ちに空想する。顔、目、手足の動きが可能になり、声まで出せるようになったら、さまざまな場面で使っていける、ペットと同じように家族の一員にも加えうると。
そういう実験はもうはじまっているだろう。問題は、生と死を最初から孕むことのない、途中からの〈人間〉が、どこまで人間に近づけるかだ。
(2013年9月11日)